細田俊彰さんの投稿全文です

 「うらわ宿」に投稿していただいた、上木崎の細田俊彰さんの「12回マスターズ国際スピードスケートスプリント・カルガリー大会に参加して」全文を紹介します。

 

 

2回マスターズ国際スピードスケート

スプリント・カルガリー大会に参加して

 

 

 

                     上木崎  細田俊彰

 

 

 

2020229日、31日の2日間にわたり、標記大会がカルガリー(カナダ)で開催された。主催者は、国際マスターズスピードスケート委員会で、ロシア、オランダ、ノルウェー、フィンランド、ドイツ、イタリアそれに地元カナダ等から約100名が参加。日本は、北海道、長野、千葉、愛知等から25名が参加(内、女性選手は3名、一人は長野冬季オリンピック500m銅メダリストの岡崎朋美)。日本選手団は、226日成田からバンクーバーを経由してカルガリーに飛んだ。カルガリーは緯度が樺太くらいの位置にあるため、かなり寒いところと思っていたが、暖冬のために雪も少なく、気温も東京と大差なく拍子抜けしてしまった。カルガリーの街はカナディアンロッキーの麓、標高1100mの高地にある。大会会場のスケートリンクはカルガリー大学の構内にあり、アメリカのソルトレークシティーと並んで記録製造リンクとして有名である。現在のスピードスケートの各種目の世界記録はここカルガリーかソルトレークシティーのいずれかで作られている。名だたる高速リンクに、恐る恐る練習してみたが、やはり良く滑る。高地にあるため空気密度が低く空気抵抗が少ないことが要因だが、製氷技術も優れているのだろう。

 

 

 

大会は、30歳以上から5歳刻みのクラスごとに500mと1000mを2回ずつ滑り、その合計タイムで順位を争う方式で行われる。スピードスケートでは、500mと1000mが短距離(スプリント)、1500mが中距離、3000m、5000mそれに10000mが長距離とされている。500mと1000mは、陸上競技でいえば100mと200mに当たる。陸上の100mを10秒で走ると、時速は約36㎞。スピードスケートの500mを34秒で滑ると時速約53㎞。このタイムは世界記録レベルなので、我々マスターズの選手ではもちろんこれほどのスピードは出ないが、オランダ、ロシアなど外国選手は強く、55歳~60歳のクラスでも500mは39秒台。65歳~70歳でも43秒台で滑る選手がいる。私は500mが46511000mが13162で、自分のシーズンベストを出すことができた。

 

 

 

大会は滞りなく無事に終了し、大会終了後の表彰式・パーティーも盛大に行われたが、今回我々の最大の懸案は、コロナだった。日本を発つ2月下旬は、既にコロナの感染患者が国内各地で増え続けていたが、ヨーロッパでの感染はまだそれほどではなく、世界では中国に次いで日本、韓国等アジアでの感染拡大が報道されていた。従って、「カナダへ行くと、日本人は石を投げられるのでは?」などと心配していた。ところがカルガリーへ行ってみると、マスクをつけている人は一人もいない。誰もが普通に談笑し、パーティも開かれて、コロナなどどこ吹く風?という様子だった。この頃カナダでの患者の発生数が数人と報じられていたことから、あまり心配もなかったのだと思う。カナダ滞在中、日本では「学校が休校になった」、「今日は〇人が新たに感染」、など日に日に厳しくなる状況が報じられていた。大会が終わり我々は33日に帰国したが、「もしかしたら成田で入国拒否される?」「拒否されなくても隔離されて2週間は帰宅できない?」などと心配をしていたが、あに諮らんや、成田では特別な検疫もなく、普段通りの入国審査ですんなりと帰国できたのには安堵するとともにいささか拍子抜けした。空港の様子も普段と変わることはなかった。

 

ところが、後日談だが、我々の帰国後10日程したところで、カルガリー大学が封鎖されたと聞いた。詳細は不明だが、コロナの感染者が出たのではなく、感染防止のために人の動きを止めたのだと思われる。ヨーロッパでの爆発的拡大などが起こり、大会後一挙にカナダでも危機感が高まったためだろう。日本の出入国制限が急遽厳しくなったのもこの頃である。もまさに危機一髪で今回の大会は開催されたのだった。